15年間にわたり、森ユウキさんは毎年およそ6回のペースでベトナムを訪れ続けています。ベトナムの食文化、人々、そして文化への愛情は、彼をすっかり魅了しただけでなく、人生やキャリアに新たな道を切り開くきっかけにもなりました。

「Ngon nhức nách!」――ベトナム料理に夢中な日本人の口ぐせ
今年5月、森ユウキさん(40歳・日本国籍)は、約2週間にわたる恒例のベトナム滞在を楽しみました。
ダナン、ホーチミン市、そしてメコンデルタ地方を巡る旅です。高級リゾートで過ごすよりも、彼は地元の人々の日常に溶け込むことを好みます。
活気あふれる市場、路地の食堂、屋台、そして家庭料理の食卓――それらは森さんのお気に入りの場所です。
コムタム、バインミー、ブンマム、フーティウ、バインセオ、チェー、ボービアなど、どの料理にも心を奪われています。おいしい料理を味わうたびに、彼は笑顔でベトナム語のこう言葉を口にします。
「Ngon nhức nách!(最高においしい!)」

初めてのベトナム訪問――15年続く運命的な出会い
約15年前、森さんは観光で初めてハノイとホーチミン市を訪れました。彼の記憶に強く残ったのは、にぎやかな街並みや活気ある暮らしだけではありません。
何よりも印象的だったのは、ベトナム料理の特別な味わいでした。森さんによると、ベトナム料理の魅力は「シンプルでありながら奥深いこと」にあります。
「見た目はとてもシンプルで、特別に複雑な材料を使っているわけではありません。
しかし食べてみると、さまざまな味わいの層を感じることができます」さらに、同じ料理でも地域や店によって調理法が異なり、まったく新しい体験ができることも魅力だと語ります。
ブンダウ・マムトムとラウマム――日本人男性が愛する“二大料理”好きなベトナム料理について尋ねられると、森さんは「とても難しい質問です」と笑います。
それでも選ぶなら、特に愛しているのはブンダウ・マムトムとラウマムだそうです。
どちらも外国人観光客にとっては、初めて食べるには少しハードルの高い料理として知られています。森さんは冗談交じりにこう話します。「ベトナム料理は、おいしさが規格外です。」

彼を何度も呼び戻すのは、料理だけではない
森さんがベトナムを愛する理由は、料理だけではありません。人々の温かさや誠実さも大きな魅力です。
食堂や市場で見知らぬ人から気軽に話しかけられたり、おすすめの料理を教えてもらったり、親切に助けてもらった経験が何度もあるといいます。
「ベトナムに戻るたびに、この国とのつながりが深まっていると感じます。言葉では説明しきれない何かがあるんです。」
ベトナムへの愛が、日本でのベトナム料理店開業へ
こうした特別な思いは、やがて森さんの人生そのものを変えていきました。
現在、彼は日本・大阪でベトナム料理店を経営しています。
16年前に店を引き継いで以来、ベトナム料理と文化を日本の人々に伝え続けています。

現在、店ではフォー、ブン、ネムクオン(生春巻き)をはじめ、アヒル、カエル、ヤギなどの食材を使った料理まで、100種類以上のベトナム料理を提供しています。
森さんが最も幸せを感じるのは、日本で暮らすベトナム人のお客様が「故郷の味」を求めて何度も来店してくれることです。
「ベトナムと出会わなければ、今の人生はなかった」本場の味を守るため、森さんは料理人から学ぶだけでなく、毎年何度もベトナムを訪れています。
地元の市場や小さな食堂、家庭の食卓で時間を過ごしながら、ベトナムの食文化を学び続けています。
彼にとってベトナムは、単なる旅行先ではありません。仕事、人とのつながり、そして人生観までも変えてくれた特別な場所です。
「もしベトナムと出会っていなければ、今のような人生は絶対に送っていなかったと思います。」そう森さんは語りました。